ホームページ制作会社にすでに依頼してトラブルになっている、またはこれから依頼を検討している中小経営者・個人事業主の方。制作会社への不満や不安を抱えながら「どこに相談すればいいかわからない」と感じているあなたへ向けて書いています。
「思っていたものと全然違う」「追加費用ばかり請求される」「納品後に連絡が取れない」——
ホームページ制作会社とのトラブルは、毎年後を絶ちません。国民生活センターにも、ホームページ制作に関する相談が年間数百件単位で寄せられています。
ただ、正直に言います。トラブルの原因は制作会社だけにあるとは限りません。発注側の準備不足や認識の甘さが、問題を大きくしているケースも多い。この記事では、そこも含めて正直に書きます。
よくあるトラブル事例・著作権の落とし穴・相談先・防ぐための契約チェックリストまで、まとめてお伝えします。
ホームページ制作会社との「よくあるトラブル」7選

ホームページ制作で発生しやすいトラブルは、修正や追加作業による予期しない費用増加から、納品物の品質問題まで多岐にわたります。以下に代表的なものを整理しました。
「思っていたデザインと全然違う」
イメージの共有不足によるクオリティギャップ
納品されたデザインが自社のイメージと全く異なる——これは最も多いトラブルです。しかしこの問題の多くは、発注前に「参考サイト」や「雰囲気のキーワード」を共有していなかったことが原因です。
制作会社は「かっこいいサイトを作る」という曖昧な指示をそれぞれ違う形で解釈します。発注側がWordやPDFで「こんな感じにしたい」を伝えていなければ、どちらが悪いとも言い切れません。
参考サイトを3〜5件用意し、「ここが好き・嫌い」を言語化してから渡す。ワイヤーフレーム(ページの骨格図)の確認を契約に含める
デザインカンプ(完成イメージ図)のOKをもらってから本制作に進む工程を明示させる
「追加費用が次々と発生する」
見積もり外の作業が青天井になるトラブル
修正や追加作業によって費用が大幅に増加してしまうケースは少なくありません。修正・追加作業に関しての対応は、見積もりや契約内容に記載してあることがほとんどです。
ページ数の増加、写真撮影、テキスト原稿作成、SEO設定、スマートフォン対応——これらが「別途費用」になっているかどうかを契約前に確認していないことが原因です。
見積書に「含まれるもの・含まれないもの」を明記させる。ページ数・修正回数・対応ブラウザを契約書に記載する
追加費用が発生する場合は事前に書面で通知・合意を取ることを契約に明記する
「納期が大幅に遅れた」
進捗報告がなく、突然「もう少し待ってほしい」
納期が大幅に遅れるトラブルに悩む中小企業や個人事業主の方は少なくありません。ただし、遅延の原因が制作会社だけとは限りません。発注側のテキスト原稿・写真・確認作業の遅れが、制作会社の作業を止めている場合も多くあります。
開店・キャンペーン・求人に間に合わせたい場合は、納期を逆算して「自分側の提出期限」も含めたスケジュールを最初に決めておくことが不可欠です。
キックオフ時に「自分が素材を渡す締め切り」も明示する。進捗確認の定例MTGを月1〜2回設定する
納期遅延が発生する場合の通知義務・違約金条項を契約に含める
「納品後に連絡が取れなくなった」
制作会社の廃業・担当者退職・音信不通
サイト納品後、更新や修正を依頼しようとしたら連絡がつかなくなった——制作会社の廃業や担当者の退職によって起きるトラブルです。特に個人や小規模な制作会社への発注では起きやすい問題です。
この場合、サイトのデータ(ソースコード・画像・データベース)が手元にないと、別の会社に引き継いでもらうことすら難しくなります。
納品時に全データを受け取ることを契約に明記する。ドメイン・サーバーは自分名義で契約する
制作データの引き渡し条項・廃業時のデータ移管対応を契約書に含める
「サイトが検索に出てこない」
SEO対応していなかった・効果の誇大表現
「検索で上位表示します」という営業トークを信じて依頼したが、公開後も全く検索に出てこない——このトラブルの多くは、SEOは「絶対に上位表示できる」と保証できるものではないという事実が、発注前に正しく伝わっていないことが原因です。
SEOは制作後の継続的なコンテンツ更新と技術対応によって結果が出るもの。「制作するだけで上がる」という認識は誤りです。
「SEO対策含む」の中身を具体的に確認する(タイトル設定・サイトマップ送信など)。「上位表示保証」という表現には強く疑問を持つ
SEO対応の具体的な作業内容を契約書に明記させる
「発注した側にも責任があるトラブル」が多い
📢 発注側が知っておくべき「自分たちの責任」
ホームページ制作のトラブルを調べると、「悪質な制作会社が悪い」という論調の記事ばかり出てきます。しかし実際の現場を見ると、発注側の準備・判断・対応が問題を大きくしているケースが非常に多いのが現実です。
「思ってたのと違う」→ 参考サイトを渡していなかった。「追加費用が増えた」→ 契約書を読んでいなかった。「素材が揃わず納期が遅れた」→ 発注側が写真・原稿を期日に提出していなかった。これらは制作会社を責めても解決しません。
発注した側の私たちも、「プロに任せれば全部うまくいく」という前提を見直す必要があります。制作は協働作業です。発注側が責任を持つべき部分を理解して動くことが、トラブルを防ぐ最大の対策です。
「知らなかった」では済まない:著作権・人格権の落とし穴

ホームページ制作でトラブルになりやすい、もう一つの盲点が著作権です。制作会社に依頼して完成したサイトでも、契約に明記していなければ著作権は制作会社側に残ります。
Web制作会社、もしくは制作者は制作したホームページの著作権を顧客に譲渡するのが一般的ですが、そのためには契約書に著作権譲渡条項と著作者人格権不行使条項を入れておく必要があります。これを知らずに契約すると、後から大きなトラブルに発展することがあります。
著作権(財産権)の譲渡
ホームページのデザイン・テキスト・コードには著作権が発生します。「お金を払って作ってもらった=著作権も自分のもの」ではありません。契約書に「著作権を発注者に譲渡する」という条項がなければ、制作会社に著作権が残ります。
著作権が制作会社にある状態では、サイトを他社に移管する際・デザインを流用する際・大幅にリニューアルする際に、制作会社の許可が必要になる場合があります。
著作者人格権の「不行使特約」
「著作者人格権」は著作権法第18条から第20条に定められている権利で、著作権とは別の権利です。この著作者人格権は移転できない権利とされているため、著作権を移転した後も、制作者に残ります。そこで、発注者がプログラムやコンテンツを自由に使えるようにするためには、著作権が移転されることを記載するだけでなく、「制作会社が発注者に対して著作者人格権を行使しない」ことを明記しておく必要があります。
| 著作者人格権の種類 | 内容 | 不行使特約がないと… |
|---|---|---|
| 公表権 | 作品を公表するかどうかを決める権利 | 制作会社の同意なく公開できない可能性 |
| 氏名表示権 | 著作者名を表示するかを決める権利 | 制作会社名の表示を求められる場合がある |
| 同一性保持権 | 著作物を無断で改変されない権利 | 自社でサイトを修正・変更する際に問題になりうる |
著作者人格権の不行使条項とは、著作者が著作権の譲渡をするときに、譲渡先の相手に対して、著作者人格権を行使しないことを約束する契約条項です。一般的には、著作権譲渡の契約書の中に「著作者人格権は行使しない」といった条文を含める場合が多いです。
トラブルが起きたらどこに相談すればいいか

すでにトラブルになっている場合、感情的に制作会社とやりとりするだけでは解決しません。適切な相談先を知っておくことが重要です。
| 相談先 | 対応内容 | 費用 | こんな状況におすすめ |
|---|---|---|---|
| 国民生活センター/消費生活センター | 相談・あっせん・業者への連絡 | 無料 | まず最初に相談したい。金額が比較的小さい |
| 弁護士(内容証明・交渉) | 法的対応・損害賠償請求 | 数万〜 | 支払い済みで納品なし・悪質な対応をされている |
| 弁護士会の法律相談 | 30分程度の初回法律相談 | 5,500円(30分) | 法的に問題があるか確認したい |
| よろず支援拠点 | 中小企業の経営相談・業者選びのアドバイス | 無料 | 別の制作会社を探す・制作の進め方を整理したい |
| 都道府県の産業振興センター | IT・Web関連の専門家派遣 | 無料〜格安 | 技術的な問題の判断が必要な場合 |
トラブルを防ぐ:発注前にやっておくべき5つのこと
ホームページ制作でトラブルが起きる根本的な原因は、発注側と制作会社側の「認識のズレ」にあります。双方が「当然やってくれるだろう」「理解しているはずだ」と思い込むことで、後戻りできない溝が生まれてしまいます。事前の準備でほとんどのトラブルは防げます。
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参考サイトを3〜5件用意して「好き・嫌い」を言語化する
「かっこいいサイト」という言葉は人によって全く違う意味を持ちます。参考サイトのURLと「ここのナビゲーションが好き」「このカラーが嫌い」という具体的なコメントをセットで渡しましょう。これだけでデザインのズレは大幅に減ります。
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見積書の「含まれないもの」を必ず確認する
見積書には含まれる作業しか書いていないことが多いです。「写真撮影・原稿制作・SSL設定・スマホ対応・更新マニュアル・アフターサポート」がそれぞれ含まれているか、一つずつ確認してください。後から「それは別途です」と言われないために。
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契約書に「著作権譲渡条項」と「著作者人格権不行使条項」を入れる
口頭での確認では不十分です。「著作権(第27条・第28条含む)は完成・支払い完了をもって発注者に譲渡される」「制作会社は著作者人格権を行使しない」の2点を必ず書面に入れてください。これがないと後から別会社へ移管・修正する際に問題が起きます。
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ドメイン・サーバーは必ず自分名義で契約する
制作会社名義でドメインやサーバーを契約すると、制作会社との関係が終わった後も移管できないリスクがあります。特にドメイン(例:yourcompany.co.jp)は会社の資産です。必ず自社で直接契約・管理してください。
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「修正回数」「対応期間」「連絡方法」を契約書に明記する
「何回でも修正してもらえる」は口約束では成立しません。修正回数・納品後のサポート期間・緊急時の連絡手段・担当者が変わった場合の対応——これらを書面に入れておくことで、後からの「言った・言わない」問題を防げます。
契約前チェックリスト:これが揃っていれば8割のトラブルは防げる
- 参考サイトを3件以上渡し、好み・NGを言語化した
- 見積書に「含まれないもの」が明記されている(または口頭で確認してメモした)
- ページ数・修正回数・スマホ対応が契約書に明記されている
- 納期・自分側の素材提出期限の両方がスケジュールに入っている
- 著作権譲渡条項(第27条・第28条含む)が契約書にある
- 著作者人格権不行使条項が契約書にある
- 使用素材の著作権処理を制作会社が保証する条文がある
- ドメイン・サーバーは自社名義で契約済みまたは予定している
- 納品物にはソースコードや素材データが含まれることを確認した
- 納品後のサポート期間・連絡方法が契約書に明記されている
- 追加費用が発生する場合の事前通知・合意が契約書にある
- 制作会社の実績・法人登記・担当者の連絡先を確認した
まとめ:制作会社との関係は「協働」です
ホームページ制作のトラブルを「制作会社が悪い」で終わらせると、次の制作でも同じ問題が繰り返されます。
発注した側が「何を作りたいか」「どんな状態がゴールか」を言語化して渡すこと。契約書を読んで理解すること。素材を期日通りに提出すること。これらは発注者としての責任です。
制作会社を選ぶ目を養いながら、自分たちも「良い発注者」になることが、最終的に良いホームページを作る最短ルートです。
📌 状況別・あなたへの最終提案
- これから制作会社を探している → よろず支援拠点で無料相談 + 本記事のチェックリストを持参して比較
- すでに契約してトラブルになっている(金額が小さい) → 消費生活センター(0120-797-188)に相談
- すでに契約してトラブルになっている(金額が大きい・悪質) → 弁護士会の法律相談(30分5,500円)または弁護士に依頼
- 著作権・データの引き渡しでもめている → まず弁護士に相談。契約書の内容が全ての判断基準になります
- 納品後にサイトを移管・リニューアルしたい → 著作権譲渡条項があるか確認。なければ元の制作会社と交渉が必要
参考・出典
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