
採択率13〜15%——東京都の創業助成事業は、最大400万円が受け取れる一方で「7人に1人しか採択されない」狭き門です。
「フリーランスで開業届を出していない自分でも申請できるの?」「個人事業主から法人化した場合、5年のカウントはどうなる?」「採択率15%でも、準備次第で通過できる?」——この記事では、あなたの状況(フリーランス未届・個人事業主・法人なり)ごとに対象要件を整理し、採択率を上げるための準備戦略までを一気に解説します。
1. 東京都 創業助成事業とは|基本スペックと採択率の現実
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 創業助成事業(公益財団法人東京都中小企業振興公社) |
| 助成上限額 | 最大400万円(事業費+人件費:300万円、委託費:100万円) |
| 助成率 | 助成対象経費の2/3以内 |
| 助成対象期間 | 交付決定日から6か月以上、最長2年 |
| 申請方式 | jGrants(電子申請のみ) |
| 令和8年度 第2回 | 2026年9月29日(火)〜10月8日(木) |
| 採択率 | 13〜15%前後(約7人に1人) |
| 採択後の公表 | 個人・個人事業主の場合、氏名(本名)が公表される |
⚠️ 採択率15%の現実
採択率は概ね13〜15%前後で推移しており、面接審査(書類通過者のみ)を含む2段階審査です。「要件を満たせば通る」ではなく、「事業計画の質で競争に勝つ」必要があります。準備期間は平均9か月程度かかります。
2. あなたの状況で使える?|3パターン別 対象要件チェック
パターン①:フリーランス・開業届未提出の人
「副業や業務委託で収入はあるが、開業届を出していない」——この状況の人が最も多く誤解しているケースです。
| チェック項目 | 判定 | 補足 |
|---|---|---|
| 申請者区分 | ◎ 対象になれる | 「創業予定者」として申請できる(開業前でも可) |
| 開業届の有無 | 不問(創業予定者なら未提出でもOK) | 申請時点で開業していなくてもよい |
| 経営経験のカウント | ⚠️ 要注意 | 過去に個人事業主・法人代表として5年以上の経験があればNG |
| 副業・業務委託収入 | 経営経験にはカウントされない | 雇用契約・業務委託は経営経験に含まれない |
| 法人設立前の申請 | ◎ 可能 | 交付決定後に法人設立・開業することも認められている |
💡 フリーランス(開業届未提出)のポイント
開業届を出していなくても「創業予定者」として申請できます。ただし、交付決定後の助成対象期間中に都内で実質的に事業を行うことが条件です。また副業・業務委託収入は「経営経験」に含まれないため、通算5年ルールには抵触しません。
パターン②:個人事業主として開業届を提出済みの人
| チェック項目 | 判定 | 補足 |
|---|---|---|
| 申請者区分 | ◎ 対象 | 「創業後5年未満の個人事業主」として申請 |
| 5年のカウント起点 | 開業届の提出日 | 税務署への開業届の開業年月日が基準 |
| 別の事業の期間 | ⚠️ 通算される | 過去の別事業での個人事業主・法人代表経験も合算 |
| 納税地 | 都内であること | 個人事業税の納税地が東京都内が必要 |
| バーチャルオフィス | △ 実態次第 | 実質的な事業活動があれば可。住所登記だけはNG |
⚠️ 個人事業主の「通算5年」に注意
過去に別の事業で個人事業主だった期間も通算されます。たとえば「10年前に2年間だけ個人事業主として活動した」という場合、その2年間も通算に含まれます。海外での事業経験も含まれるため、自分の経歴を必ず棚卸ししてください。
パターン③:個人事業主から法人化(法人なり)した人
| チェック項目 | 判定 | 補足 |
|---|---|---|
| 申請者区分 | ◎ 対象 | 「創業後5年未満の法人代表者」として申請 |
| 5年のカウント | ⚠️ 個人+法人を通算 | 個人事業主の期間+法人代表の期間を合算して5年未満が条件 |
| カウント起点 | 開業届の提出日(個人事業主時代の開始日) | 法人設立日ではなく個人事業を始めた日から通算 |
| 別事業の影響 | ⚠️ 通算される | 同一事業・異なる事業を問わずすべて通算 |
| 本店登記 | 都内であること | 法人の本店(士業法人は主たる事務所)が都内に登記 |
💡 法人なりのカウント例
例)個人事業主2年→法人化後1年=通算3年→対象◎
例)個人事業主4年→法人化後2年=通算6年→対象外✕
例)個人事業主3年→休止→法人化直後=通算3年→対象◎(休止期間はカウントされない場合あり、要確認)
3. 申請できない!絶対NGのパターン一覧
| NGパターン | 理由 |
|---|---|
| 個人事業主・法人代表として通算5年以上の経営経験がある | 最も多い不該当理由。別事業・過去の経験も含む |
| みなし大企業(大企業の子会社等) | 中小企業の定義を外れるため対象外 |
| 個人開業医 | 明示的に対象外と規定 |
| 本店・納税地が都外 | 東京都内での事業活動が前提 |
| バーチャルオフィスのみ(実態なし) | 実質的な事業活動の場が必要 |
| 過去に同一経費で他の助成金を受給済み | 同一経費の重複助成は不可 |
| 反社会的勢力・暴力団関係者 | 当然に対象外 |
| 風俗・ギャンブル・賭博業 | 公的資金の助成先として不適切 |
4. 申請に必要な4つの要件|全部クリアしないと門前払い
申請要件1〜4をすべて満たさなければ、書類審査の時点で不採択になります。
要件1:申請者区分(前章で解説)
創業予定者・創業後5年未満の個人事業主・法人代表者・NPO法人代表者のいずれかに該当すること。通算5年未満の経営経験が条件。
要件2:指定された創業支援事業の利用(最重要・最低2か月以上かかる)
22種類の指定創業支援事業のうち、いずれか1つを申請日までに利用・修了していることが必須です。
| 創業支援事業の例 | 運営 | 利用のポイント |
|---|---|---|
| TOKYO創業ステーション「プランコンサルティング」 | 東京都中小企業振興公社 | 最もポピュラー。修了まで約3か月。事業計画書の精度も上がる |
| 東京都制度融資(創業)の利用 | 東京都・金融機関 | 融資と助成金を並行活用できる |
| 公的インキュベーション施設への入居 | 各施設 | 入居実績が要件を満たす |
| 産業競争力強化法の特定創業支援等事業 | 区市町村 | 区市町村の窓口で受講。1か月以上4回以上の受講が必要 |
⚠️ 要件2は「準備期間2か月以上」が必要
創業支援事業の利用には最低2か月、プランコンサルティングなら約3か月かかります。第2回(9月末申請)に向けるなら、今すぐ申込を開始してください。申請日までに修了していないと門前払いになります。
要件3:事業実施に関する条件
- 都内で実質的に事業を継続して行うこと
- 助成対象経費は助成対象期間内に契約・履行・支払が完了する見込みであること
- 同一経費について他の国・都・区市町村等の補助・助成と重複させないこと
要件4:その他の適格性要件
- 東京都・公社の税金・貸付金等の滞納がないこと
- 反社会的勢力に該当しないこと
- 過去5年以内に助成事業で不正を行っていないこと
5. 採択率13〜15%を突破するための審査対策
審査は2段階:書類審査→面接審査
| 審査フェーズ | 内容 | 令和8年度 第2回の予定時期 |
|---|---|---|
| 書類審査 | 申請書・事業計画書・添付書類の審査 | 2026年10月〜12月上旬 |
| 面接審査 | 書類通過者のみ。約15〜20分の面接 | 2027年1月6日(水)〜1月14日(木) |
| 交付決定 | 採択通知 | 2027年3月1日(月)予定 |
審査で評価される3つの軸
| 評価軸 | 具体的なポイント |
|---|---|
| 事業の実現可能性 | 売上見込みの根拠が数値で示されているか。資金繰り計画が現実的か |
| 事業の成長性・継続性 | 助成期間終了後も5年以上事業を継続できる見通しがあるか |
| 都内産業への貢献性 | 東京都内での雇用創出・産業活性化への寄与が説明できているか |
採択率を上げるための具体的な準備
- プランコンサルティングを活用して事業計画書の質を上げる:TOKYO創業ステーションの担当者から直接フィードバックを受けることで、審査員目線の計画書に仕上がる
- 売上見込みは「根拠」とセットで記載:「月100万円の売上を見込む」ではなく「既存顧客X社からの受注実績○○万円に加え、新規開拓で月○件の成約を見込む(根拠:業界平均単価○万円×成約率○%)」のように数値の裏付けを示す
- 資金繰り計画を精緻に作る:助成金は後払いのため、交付前の資金繰り(立替期間)を含めた計画が求められる
- 面接対策を怠らない:事業計画書の内容を自分の言葉で説明できるよう準備。審査員からの深掘り質問に答えられるよう想定QAを作る
- 令和8年度の変更点を把握する:事業スケジュールの記入が四半期ごとの表形式に変更。形式の不備で減点されないよう最新様式を確認
6. 助成対象経費と「遡及」の可否
| 経費区分 | 具体例 | 交付決定前の契約 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 賃借料 | 事務所・コワーキングスペース家賃 | ◎ 契約遡及可 | 交付決定前に支払った分はNG。対象期間中の支払分のみ |
| 従業員人件費 | 正社員・アルバイトの給与(代表者・役員は対象外) | ◎ 契約遡及可 | 月額上限あり(正社員35万円等) |
| 広告費 | WEB広告・チラシ・SNS広告 | ✕ 遡及不可 | 交付決定後に発注・支払 |
| 器具備品購入費 | PC・デスク・カメラ等 | ✕ 遡及不可 | 交付決定後に購入 |
| 専門家指導費 | コンサルタント・士業費用 | ✕ 遡及不可 | 交付決定後に契約 |
| 産業財産権出願費 | 特許・商標出願費用 | ✕ 遡及不可 | 交付決定後に出願 |
| 委託費(市場調査) | 市場調査・分析の外注費 | ✕ 遡及不可 | 上限100万円。交付決定後に発注 |
💡 賃借料・人件費は「契約」の遡及が可能
賃借料と従業員人件費に限り、交付決定前に締結した契約であっても、助成対象期間中に支払う分は対象になります。すでにオフィスを借りている・従業員を雇っている場合も、期間中の支払分は助成対象になり得ます。ただし「交付決定日以前に支払済みの分」は対象外です。
7. 第2回(2026年9月末)に向けた準備ロードマップ
| 時期 | やること | 所要時間目安 |
|---|---|---|
| 今すぐ | GビズIDプライムの取得申請 | 取得まで約2週間 |
| 今すぐ〜6月 | TOKYO創業ステーションの「プランコンサルティング」申込・受講開始 | 修了まで約3か月 |
| 〜7月 | 事業計画書の骨子作成(創業支援事業の担当者と並行して) | 継続的に作成 |
| 8月 | 申請書類の整備・資金繰り計画の精緻化・GビズIDの最終確認 | 1か月 |
| 9月29日〜10月8日 | jGrantsで電子申請(締切間際は混雑するため早めに) | 申請作業1〜2日 |
| 10月〜12月 | 書類審査(結果通知まで待機) | — |
| 2027年1月 | 面接審査(書類通過者のみ・日程指定あり) | 面接約15〜20分 |
| 2027年3月 | 交付決定→助成対象期間開始 | — |
8. まとめ|状況別 最短ルートと今すぐやること
| あなたの状況 | 申請者区分 | 最初にやること | 注意点 |
|---|---|---|---|
| フリーランス・開業届未提出 | 創業予定者 | プランコンサルティングに申込 | 副業収入は経営経験に含まれない。過去の経営歴を確認 |
| 個人事業主(開業届あり) | 創業後5年未満の個人事業主 | 開業届の提出日を確認・通算年数を計算 | 別事業の個人事業主期間も通算に含まれる |
| 法人なり(法人化済み) | 創業後5年未満の法人代表者 | 個人事業主だった期間+法人期間を通算 | 通算が5年を超えていれば対象外 |
✅ 今すぐやること
① GビズIDプライムを今すぐ申請(2週間かかる)
② 過去の経営歴を棚卸し(個人事業主・法人代表の期間を通算して5年未満か確認)
③ TOKYO創業ステーションの「プランコンサルティング」に申込(修了まで3か月かかる)
④ 令和8年度の最新募集要項を必ず確認(様式変更あり)
⑤ 採択されるまで助成対象経費を先払いしない(賃借料・人件費の契約は例外あり)
※本記事は2026年5月時点の公式情報をもとに作成しています。申請前に必ず最新の募集要項をご確認ください。
参考:TOKYO創業ステーション 創業助成事業|令和8年度第1回募集要項(PDF)
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